
ビーコンを用いた捜索において機種による特性、及び電波の発信特性を理解することで、必要な状況下においても
的確な捜索を行うために役立てる。
1999年10月30日 (晴れ) 愛知県 豊田市体育館周辺
8:00〜12:00 気温 15℃〜22℃ 湿度 40%
オルトボックス F1フォーカス 2台
SOS F1−ND 1台 *使用電池はすべて新品を使用
室田 室井 水野

・発信側を地面に置き、受信側は地上1mで測定を行った。
・まず最初にビーコンを互いに正面に向け、表示距離と実距離の測定を行った。
<捜索側の機種>オルトボックス (m)
| 発信側機種 | 最大レンジLED2個点灯 | 35mレンジ | 15mレンジ | 8mレンジ | 2mレンジ |
| オルトボックス | 38 | 12 | 5 | 3 | 0 |
| SOS | 36 | 12 | 4 | 2 | 0 |
<捜索側の機種>SOS (m)
| 発信側機種 | 最大レンジLED2個点灯 | 50mレンジ | 30mレンジ | 8mレンジ | 4mレンジ | 最小レンジ |
| オルトボックス | 51 | 32 | 20 | 5 | 4 | 2 |
結果的には各レンジの表示距離よりも実距離の方が近いという事が分かった。
特にオルトボックスでの捜索の場合、最初にビープ音を拾う事が出きるかが重要となるだろう。
発信音さえ拾ってしまえば埋没者はかなり近くにいることになる。また最小レンジでは真上にきてもLEDが3個点くことはなっかた。
ただし、高さを下げていくとLEDは3個点灯した。(SOSは真上手前で3個点灯)
これとは対照的にSOSは比較的レンジの表示と近い数値を出す。
受信位置が腰高と考えると受信精度は甘いのかもしれない。
以上からこの2機種でいえることはSOSでは大まかな捜索が可能で最小レンジにしても、ピンポインでない可能性がある。
逆にオルトボックスは最小レンジになった時は比較的高い確率で埋没者の発見が可能であるということである。
写真1)テスト風景直線で100mの距離を取って行った。10m間隔でパイロンを設置。
・発信側を地面に置き、受信側は地上1mで測定を行った。
・発信側のビーコンを受信側に対して90度向け、表示距離と実距離の測定を行った。

<捜索側の機種>オルトボックス (m)
| 発信側機種 | 最大レンジLED2個点灯 | 35mレンジ | 15mレンジ | 8mレンジ | 2mレンジ |
| オルトボックス | 36 | 18 | 5 | 3 | 0 |
| SOS | 17 | 4 | 2 | 0.5 | 0 |
<捜索側の機種>SOS (m)
| 発信側機種 | 最大レンジLED2個点灯 | 50mレンジ | 30mレンジ | 8mレンジ | 4mレンジ | 最小レンジ |
| オルトボックス | 66 | 31 | 8 | 2 | 1 | 0 |
基本的にはテスト1と数値的にはそれほど大きな差はないが、オルトボックスでSOSを受信した場合、
最初にビープ音を拾うのにかなりの距離が必要で、電波の波形がSOSは横方向にはあまり飛んでいない様な印象をうけた。
今回のケースの場合ピンポイントに関してはどちらも極めて正確に捜索が可能である。
そして一番関心が深いのはSOSはかなり広範囲の位置から埋没者の発信音を受信できるということ。
・発信側を地面に垂直に立て、受信側は地上1mで測定を行った。
・ビーコンは互いに正面方向に向け、表示距離と実距離の測定を行った。

<捜索側の機種>オルトボックス (m)
| 発信側機種 | 最大レンジLED2個点灯 | 35mレンジ | 15mレンジ | 8mレンジ | 2mレンジ |
| オルトボックス | 20 | 8 | 2 | 1.5 | 0 |
| SOS | 21 | 9 | 3 | 2 | 0 |
<捜索側の機種>SOS (m)
| 発信側機種 | 最大レンジLED2個点灯 | 50mレンジ | 30mレンジ | 8mレンジ | 4mレンジ | 最小レンジ |
| オルトボックス | 62 | 18 | 11 | 4 | 2 | 0 |
今回のテストでは大きな差が見られた。
オルトボックスで受信している場合は非常に近くまで行かなければ最初のビープ音を拾う事が出来ない事。
それとは対照的にSOSはここでも安定して広範囲の位置から埋没者の発信音が受信できるということ。
ピンポイントに関してはどちらも極めて正確であった。
4.その他
・携帯電話の影響
ここ最近携帯電話が手軽な事からバックカントリーにもちこまれる事が多くなったが電波の影響は捜索に悪影響を及ぼすか
検証してみた。
結果は極めて近く(真横程度)まで近づけなければ共振し合う事はなかった。
*最近、捜索時に携帯電話の影響で極めて類似した電波により混乱したという事例もあるので問題ないとわけではないようである。
・ビーコンにイヤホンを使用する事は有効か
実際に使用してテストしてみたが面白い結果がでた。
最大レンジ〜中間レンジではノイズが非常に多く入り、発信方向の特定が出来ないのである。
またLEDも常に3個点灯したままとなってしまった。
しかし、中間レンジ〜最小レンジとなる所ではノイズは若干入るものの、LEDの点灯も正確に作動していた。
ただしこの結果は市街での結果なので実際のフィールドで再テストが必要である。
・発信側を地面に置き、受信側は地上1mで行った。
・ビーコンを互いに平行に置き、電波誘導法に基づいてその軌跡がどうなるかテストした。
・発信側にはオルトボックスを使用した。
・受信側にはオルトボックス、SOS両方を使用した。

結果としては、当初予想していたとうりの軌跡にのって発信側のビーコンにたどり着いた。(図4参照))
受信はオルトボックス、SOSと両方使用したが、軌跡についてはほぼ同じ結果がでた。ただ、オルトボックスは
受信テストでも上げたとうり、発信機の近くに来ても腰高の位置ではLEDは3個点灯しなかった。
こういったビーコンが平行に存在する場合必ずしも最短距離で発信側のビーコンに到達する事がなく、
電波に乗った捜索になり遠回りする事が分かった。
・発信側を地面に置き、受信側は地上1mで行った。
・ビーコンを発信側と受信側とで90度向きをかえて置き、電波誘導法に基づいてその軌跡がどうなるかテストした。
・発信側にはオルトボックスを使用した。
・受信側にはオルトボックス、SOS両方を使用した。

結果はテスト1とは異なる結果がでた。
発信側の電波を受信した後は、比較的直線的な軌跡で発信側のビーコンにたどり着いた。(図5参照)
この結果はオルトボックスでもSOSでも同様の結果を得られた。
ビーコンの電波の発信している波形を良く理解していれば、またビーコンの受信特性を知っていればこの様な結果は予想できる。
電波誘導法テスト2 今回パイロンを捜索時の軌跡上に置き、後で比較してみた。 |
電波誘導法テスト1 |
・発信側を地面に置き、受信側は地上1mで行った。 (側方視)
・ビーコンの発信側を縦に置き、発信側に対して平行、90度に置き、電波誘導法に基づいてその軌跡がどうなるかテストした。
・発信側にはオルトボックスを使用した。
・受信側にはオルトボックス、SOS両方を使用した。

結果としては発信されているビーコンに対して(図5)と同様に直線的な軌跡で発信側のビーコンにたどり着いた。
この事は発信側のビーコンが受信側に対して平行であっても、90度異なっていても同様の結果を得られた。
また受信側がオルトボックスであってもSOSでも同様である。
この事から発信側が縦の場合、平行、90度と同様な捜索軌跡になる事から3次元的電波の発信状況を理解する事も重要となる事が分かった。

平行の場合距離1と距離2とで多少なりとも差が生じる。
よって本来なら正面に向いた時に電波の受信が一番強く、上下に受信側を振った時は正面に比べて弱く表示が出る。
実際の検証では、確かにわずかながら正面の受信状況が強かったが、上下も正面とほぼ同様の強さで、
結果的にさほど差は無いといった感じだった。
(図7)では電波の形状が極端だが、本来は電波が密なので上下に振ってもあまり変化が出ないのは当然かもしれない。

結果としては予想どうりの結果が出た。
受信側を上下に振る事で受信レベルの強弱がはっきりと出た。
これは受信側の特性として電波が飛んでくる方向に強く反応する事と、発信側の波形の特性から出た結果で、
正面より上側に向けた場合に強く反応した。
この様な特性を理解する事は実際の捜索では非常に有効な経験となる。
遭難者は自分の上方にいるのか下方(埋没)しているか分からないから。
・今回は1回目に2次元的な状況でランダムに2台のビーコンを隠した。
・2回目は3次元的要素を取り入れて、トレーニングを行った。
一番最初に受信した所によって、最初のビーコンが早く捜索できるかが左右されることがある。
最初は電波が強い方に向かって捜索を進める事が重要。
特に2個目以降のビーコンを捜索する場合、一番最初に2個(2個以上)のビープ音が聞こえた場所までひき返し、
パルスの振幅の違いをよく聞き分ける事が必要である。(LEDの点滅では微妙な所まで分かりにくい)
2個(2個以上)のビープ音が聞こえた時点で目印を置くとよい。
それから最初に発見したビープ音と異なる振幅を聞き分け、異なる電波の強い方に向かって捜索をすすめる。
ビーコンが2台近くに埋まっている時の方が、互いの電波が重なり合い捜索が難しくなるような感じを受けるが必ずしもその様な事は無い。
遠くに離れた2台でも、たまたま電波が重なる場所が合えば混乱しやすい。 (図9参照)

2個のビーコンをランダムに置き、捜索を開始する。
ピンポイント時を発見とみなす。
発見したビーコンは止めずに次のビーコンの捜索を開始する。
2次災害を想定して、発見してもビーコンは止めない。
止める時は安全な所に移動してから。
こういった場合、受信側のビーコンを上下、左右に振ってみると一部強い電波を拾う事がある。
3次元的なトレーニングではビーコンを樹木に結びつけて行った。
今回のトレーニングではオルトボックスでは近くに(真下)来ても最小レンジでLEDが3個点灯しなかった。
はじめにテストしたとうり精度のよさが逆に混乱を招いている様である。
この事から埋没者が深い所に存在する場合必ずしも最小レンジを使用するとは限らない事がわかる。
(写真4)
もし混乱したならば、確実に電波を拾っていた場所までひき返し上下左右にビーコンを振ってみると混乱を解決する場合がある。
Data by こなうみ